(最終更新:2020年1月)
私自身が個人的に将棋が好きなのと、将棋を覚えれば物事を深く考えたり先を読んだりする癖が付くかなと思い、上の子供に5歳の頃から将棋を教えています。
今回は、私自身の経験を踏まえて、将棋の基礎を覚えるところから中級者を目指すところまでの、幼児~小学校低学年の子供への将棋の教え方をご紹介します。
目次:
将棋の教え方:導入編(目安:年中クラス~)
幼児(年中~)には、いきなり将棋を教えるのではなく、「どうぶつしょうぎ」から始めるのがオススメです。
「どうぶつしょうぎ」は、駒は4種類(ライオン、キリン、ゾウ、ひよこ⇒成るとニワトリ)、盤も3×4マスと、実際の将棋と比べて大幅に簡素化されていますが、将棋と同様に先を読まないと勝てないようになっており、将棋の基礎を楽しく学ぶだけでなく、知育玩具としてもオススメです。
ルールがシンプルな上に、各駒には動ける方向に丸印がついていますので、小さい子供でもすんなりと遊び方を理解できます。
ちなみに、駒の種類やマス目を増やした上位版もありますが、3×4マスの「どうぶつしょうぎ」が理解できれば実際の将棋もスムーズに覚えられますので、3×4マスの「どうぶつしょうぎ」の次は、上位版に行くよりも、実際の将棋を教える方がいいと思います。
「どうぶつしょうぎ」は、「どうぶつしょうぎウォーズ」というアプリで遊ぶこともできます。
(iphone版、Android版それぞれあり、App StoreやGoogle Playからダウンロードできます)
コンピューターとの練習対局が強過ぎず弱過ぎず、幼児にちょうどいい強さになっており、無料・無課金の上に広告もありませんので、安心して遊ばせることができます。
(「小さい子供にケータイで遊ばせるのはいかがなものか」という意見もあるかと思いますが)
将棋の教え方:初心者向け(目安:年長~小学校低学年)
実際の将棋のルールや基本を覚える上では、次の2冊がオススメです。
書籍:「ハンディー版 スグわかる!まんが将棋入門 ルールと戦法完全マスター」(くもん出版)
これから将棋を覚えようという子供向けの、羽生先生監修の子供向け定番書です。
駒の動かし方を含めた将棋のルールから始まり、基本的な手筋や駒の特性を経て、序盤~中盤~終盤の戦い方の基本までカバーしており、「入門書はこれ1冊で十分」というくらい盛り沢山の内容です。
小さなテーマごとに「マンガ」⇒「解説」⇒「練習問題」というステップを繰り返す、初心者の方にも理解しやすい丁寧な構成になっています。
フリガナもきちんと振ってありますので、小学校低学年の子供でも十分読めるようになっています。
書籍:「将棋入門ドリル」(くもん出版)
羽生先生が表紙の、日本将棋連盟公式ドリルです。
その名の通りドリル形式となっており、練習問題を解いていけば自然と基礎知識が身に付くようになっています。
ドリルはステップ1~3の三冊に分かれており、基礎~基本を段階的に学べるようになっています。
・ステップ1: 「駒の並べ方・動かし方」「勝ち負け」「禁じ手」などの基礎
・ステップ2: 駒の動かし方の応用編(タタキの歩や垂れ歩、割り打ちの銀など)
・ステップ3: 守りや攻め方など、勝つための方法 (矢倉囲いや美濃囲いなどの守り方、棒銀の基礎など)
なお、うちの場合は、将棋を始めたての時に「スタディ将棋」(くもん出版)という子供向けの将棋も購入しましたが、今思うとあまり意味がなかったかな、と思います。
「スタディ将棋」はそれぞれの駒にその駒の動き方が描いてあるので、駒の動きをまだしっかりと覚えていない子供でも駒を動かしやすいのですが、そもそも駒の動き方も覚束ないようでは、いくら将棋に触ってもあまり意味がない気がします。
ですので、個人的には、「スタディ将棋」ではなく最初から普通の将棋を触らせればよかったかな、と思いました。
将棋の教え方:初級者向け(目安:小学校低学年~)
将棋の基礎を理解した上で「もっと強くなりたい(もしくは、なって欲しい)」という場合は、まずは詰将棋をひたすら解くことと、「将棋ウォーズ」というアプリを使った実践練習をするのがオススメです。
書籍:「こども詰将棋 チャレンジ220問」(新星出版社)
将棋の基礎を理解した上で次のステップに進むには色々なアプローチがあると思いますが、まずはひたすら詰将棋を解くのがいいと思います。
詰将棋のいいところは、
・定跡などの勉強と違って、いちいち細かい説明を読まなくても、直感的に始められる
・正しく先を読まないと正解に辿り着けない
・正解・不正解がはっきりと分かる
といったところです。
パズル感覚で楽しく遊びながら学べるので、小さい子供との相性がよく、飽きずに続けやすいかと思います。
(大人にとっても詰将棋は重要です)
「こども詰将棋 チャレンジ220問」は、私が最初に子供に買ってあげた詰将棋の本で、こちらも監修は羽生先生です。
1冊の中に1手詰め80問、3手詰め100問、5手詰め40問の計220問が収められています。
"詰将棋のための詰将棋"というより、実践でもよく出てくる基本的な手筋の問題が殆どですので、子供にも取っつき易く、これから詰将棋を始める方にオススメです。
慣れてくると3手詰め、5手詰めでも割とすらすら解けるようになります。
書籍:「どんどん強くなる こども詰将棋」(池田書店)
「どんどん強くなる こども詰将棋」シリーズは、1手詰め、3手詰め、5手詰め、と三冊の本に分かれています。
この本から詰将棋を始める場合はまずは1手詰めから、他の本で既に詰将棋をやったことがある場合は3手詰めから始めるといいと思います。
成長に合わせて3手詰め、5手詰めとステップアップさせていくと、自分の頭の中で駒を動かして、先を読む力がどんどんついていきます。
アプリ:「将棋ウォーズ」
将棋の基礎を覚えた後の実践練習としては、親が相手をするのもいいですが、「将棋ウォーズ」というアプリもオススメです。
「将棋ウォーズ」は日本将棋連盟公式アプリで、「どうぶつしょうぎウォーズ」と同じ会社(Heroz)がリリースしています。
(iphone版、Android版それぞれあり、App StoreやGoogle Playからダウンロードできます)
「将棋ウォーズ」も広告表示はなく、コンピューターとの練習対局であれば、無料・無課金で遊ぶことができます。
コンピューターとの練習対局は「簡単」「普通」「難しい」の3段階がありますが、「普通」設定が初心者の実践練習の相手として強過ぎず弱過ぎず、将棋の基本を理解していないと勝てない程度のちょうどいいレベルになっています。
(ちなみに、「簡単」はコンピューターがむちゃくちゃな動かし方をするため、全く練習になりません)
他のユーザーとの対局も1日3局までなら無課金で指せますが、初心者は殆どいませんので、コンピューターとの練習対局の「難しい」設定で勝てるようになってから、子供と一緒に指してあげるのがいいと思います。
ちなみに、このタイミングで「マンガでおぼえる棒銀戦法:この本を読めば友だちに勝てる!」という本も買ってみました。
内容は、というと、お互いにあまり囲い(守り)を固めずに棒銀で攻め合う一局の将棋(全61手)をマンガ形式で感想戦まで行うことで、
・数の攻め
・銀の活用
・と金作り
・終盤の寄せ
といった基本的な手筋・考え方を学べる本です。
一手一手の意図が子供にも分かりやすいようにマンガ形式で丁寧に解説されていますので、将棋のルールを覚え立ての初心者の方が、攻め方・受け方の基本を理解するのに役に立つ内容になっています。
ただ、うちの場合は、棒銀の基本的な変化をしっかりと覚えさせたいと思い、ある程度将棋が指せるようになってから購入したため、残念ながら物足りない内容でした。
(棒銀の変化は一切載っていませんでした...)
表紙には「この本を読めば友だちに勝てる!」とありますが、あくまで初心者向けの本ですので、ある程度将棋を覚えた子供には物足りないと思います。
将棋がもっと強くなるために
将棋をある程度覚えた上で、そこからさらに強くなるためには色々な方法があると思いますが(もちろん、一番はきちんとした先生のいる将棋教室に通うことだと思います)、この段階で必要なことは、大きくは
・得意戦法を持つ。そのために、序盤の駒組みを覚える
・中盤の考え方を理解する(特に、駒の特性を活かした基本的な手筋や、"駒得・駒損"、"手得・手損"、"駒の効率"といった、局面を優勢にするための考え方)
・終盤の考え方を理解する(特に"寄せ"の考え方)
の3つだと思いますので、ここでは、これらを学ぶのに役立つオススメの書籍とプロ棋士の方によるYouTubeの将棋ウォーズ実況チャンネルをご紹介したいと思います。
書籍:羽生善治のこども将棋(3冊セット)
またまた羽生先生監修の本になってしまいますが、
・「羽生善治のこども将棋 序盤の指し方 入門-1手目からの指し方と戦法を覚えよう! 」
・「羽生善治のこども将棋 中盤の戦い方 入門-駒を得して有利に進めよう!」
・「羽生善治のこども将棋 終盤の勝ち方 入門-「詰み」「寄せ」がすぐに分かる!」
の3冊セットがオススメです。
内容は「まんが将棋入門」と重複するところはありますが、タイトルの通り、序盤~中盤~終盤それぞれの局面において、基本的かつ重要な指し方・考え方が詳しく整理されています。